ちょっといいもの-映画好き?
「A.I.」の感想

 前評判がかなり分かれてたので心配だったけど、僕はけっこう面白かったよ。人それぞれ、いろんなことを感じたり、考えたりすることのできる映画だったと思う。

 僕が一番この映画で印象的だったのは、何が「リアル」なのかということ。デイビッドが何回も "Please make me real!" ってお願いするけど、ママを純粋に思う愛を持った彼がリアルなのであって、人間の方が実はフェイクなんじゃないか・・・

 最近幼児虐待とかがあったりと、本当の愛情を見失ってる世の中じゃない?そんな中、彼の純粋なまでに母親に愛されようとする姿勢は、かわいくもあり、それが逆に悲しくも感じた。仕方ないこととはいえ、自分の子供を選んで捨てた母親なのにね。

 AIなんだから、そのようにプログラムされてるんだから当然といえば当然なんだけど、人間も元来そういうにしてできてるんじゃないのかなあ?でも、どこがどう間違ったのか、多くの人間たちはそういうリアルな愛情を失ってしまった。これは愛だけじゃなく、その他のいろいろな感情も含めてね。そういう部分を一番感じ、いろいろ考えさせられたよ。

 あとこれと関連することなんだけど、人間の残酷さもすごく感じた。特にロボットを破壊するショーのシーンでね。あの熱狂する観客の雰囲気を見て、情けなくなったし、薄ら寒くも感じた。

 僕はあまり詳しくないのだけど、これって手塚治虫のよく扱ったテーマなんじゃないかな?人間が自分たちの便利さのために作り上げたロボットに逆に支配されそうになるってのは。今後科学が発展していったら、ありえない話じゃないよね?

 しかも人間とロボットの根本的な違いは愛を含めた感情にあるのに、それまでもロボットが持ってしまったら、どこに違いがあるのかわからなくなる。そのことに人間は耐えられるのかな?それ以前に、無限に科学が発展しちゃったら、人間の存在意義までも見えなくなる。科学の発展とそれに関する倫理観の問題は、この先避けては通れないものだと思う。

 こうやって考えると、すんごく暗い映画に感じてきた。でもこれを明るくできるかも、僕たち人間の未来にかかってように思う。本当の愛を持てるのは人間だけだと思うし、そう信じたい。評価が分かれるそうな映画だけど、僕は星4つかな。

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