ちょっといいもの-映画好き?
「モンスターズ・インク」の感想

 いやー、めちゃめちゃよかった。アニメ映画ってほとんどみないし、全然期待してなかったんだけど、ほんとにいい映画だった。

 ファンタジーだし、モンスターの世界なんて実際にはあるわけないんだけど、ちゃんとというか、すごい細かく作ってあるんだよね。子供の悲鳴をエネルギーにするっていう設定がまず面白いし、しかもその会社の中にも業績争いがあったりして、こまかいところで笑いっぱなしだったよ。映画の好みでありえない設定の映画は嫌いって人いるし、それも分かるんだけど、そういうありえない話を真面目に作るところに、映画という世界の醍醐味があるんじゃないかなあ?

 モンスターたちもキャラクターにそれぞれ個性があって、妙に人間くさいんだよね。だんだんモンスターたちがかわいくみえてくるんだもん。マイクなんてほぼ目玉のおやじなのに(笑)ユーモアたっぷりで妙にかわいい。あと何といってもブーのかわいさにはまった。言葉だってまだちゃんとしゃべれないのに、ちゃんと感情が見えてくるんだよね。特にあんな大きなモンスターのサリバンを「Kitty」(幼児語で猫のこと)って呼ぶのがほんとかわいかった。

 そしてサリバンのやさしさに泣けた。今までは子供は怖いものっていう先入観があってブーからも逃げまくっていたのに、だんだん交流の中でそうじゃないってことがわかってきて、一緒に遊んであげたり、家に帰そうと真剣に頑張ったりと変化していく。しかも間違って怖がらしてしまった時の自分の顔を見て、自分のやってきた子供を怖がらせるってことに後悔を感じたりもする。(だから最後、笑いでエネルギーをえる風に会社を変えるんだけどね)そういうサリバンの心のやさしさが、子供であるブーには感じ取れたんだろうね。普通だったら外見だけで怖がっちゃうかもしれないのに、最初からくっついていくし、一回怖がりかけてもまた好きになれる。(子供の純粋さっていいよね?)

 そういう他者への愛とかやさしさって、つい見失いがちなものじゃない?でも一番大事なんだよね。だから真剣にブーを人間の世界に返してあげようとするサリバンとマイクの奮闘ぶりにはさわやかな感動があったし、別れにも涙が出た。(映画館だからちょっとだったけど、家だったらやばかったな)ブーが自分の宝物のおもちゃをどんどんサリバンに渡しちゃうとこなんかも、なんかいいんだよなあ。彼女は一生のお別れだったことは分からないんだけど、その無邪気さが逆に涙を誘うんだよね。ストーリーは甘いかもしれないし、単純なのかもしれないけど、こういう分かりやすくてさわやかな映画ってのもよくない?

 あとよかったのは、というかおしゃれだったのが、エンドロール。アニメなんだし、モンスターと子供が共演するわけもないんだけど、ちゃんと映画製作現場風になってるんだよね。NGがあったり、ミュージカルがあったり、ほんと最後まで笑いっぱなしだった。ああいうのがディズニーの懐の深さなんだろうなあ。

 星4つにしようかなって思ったけど、最後の部分も含めて、ひさびさの星5つにしよう。これからはアニメ映画もいろいろ見てみようかな。

(2002.4.15)