ちょっといいもの-映画好き?
「リプリー」の感想

 ちょっと感想とか評価とかに困る映画だけど、なかなかよかったんじゃないかな。

 まず他人に成り代わることができるのかっていうのは、とっても面白い題材だとおもう。(宮部みゆきの「火車」やトヨエツのドラマ「危険な関係」もそうだったよね。)いくら偽者でもいいから、他人の人生を欲しい!って気持ちは分からないのでもないし、特にあのリプリーの友達も理解者もお金もない惨めな境遇ならなおさらだとおもう。(最後のせりふはとても印象的だった。)

 でもやっぱりそれは不可能なこと。一つのうそが次のうそを呼び、一つの殺人が次の殺人を呼んでしまう。ディッキーに拒否され、思い余って殺してしまい、最後自分(ホモであることまでも)を受け止めてくれたピーターまでも殺してしまう彼は、なんとも悲しい・・・

 やっぱりいかにつらくとも、自分の人生を受け止め、それを懸命に生きるしかないんだろうなあ。僕ももちろん自分の人生や境遇に不満はあるけど、やっぱり自分の人生を生きたいし、何といっても自分が好きなんだよなあ!(笑)ていうか、自分を好きじゃないと生きる価値なんてないとおもう。

 映画見て、宣伝見て予想したのと全然違うじゃんって思わなかった?もっとトムがマージ(グィネスの愛)を利用して、いろいろと積極的に成り代わりを仕掛けていく話しだと思ってた。その展開のほうが見てるのには面白いと思う。でもそれだとあのトムの悲しさがでないかなあ。でもちょっと展開がトムに好転しすぎてる気がしないでもない。これは評価の別れるところだろうね。(みんなの感想も聞いてみたいな。)

 あの後トムがどうなっていったかも気になるところ。そう考えると、なかなか面白い映画だったんだじゃないかな。星3つ。

(2000.8.15)