ちょっといいもの-映画好き?
「サトラレ」の感想

 超よくなかった?めちゃめちゃ泣いたよー。(笑)(映画館であんなに泣いたのははじめて。)

 キヨ(おばあさん)が自分がガンであることを思念波で知って動揺しているのに、気丈にもこらえて「立派になって・・・」と自分の主治医になった健一にいうシーンあたりからうるうるきはじめて、その後は涙・涙・涙の嵐。助けられなかったことをあやまる場面(屋上で健一が号泣するシーン)なんて、もう画面の見えないこと見えないこと。

 あれだけ泣けたのは、自分を育ててくれたおばあさんとの愛情の深さに感動したからなんだろうなあ。どうも家族愛に弱くて。(ぽっかぽかでも泣く・・・)それにしても八千草薫は反則。ほんとにちいさなおばあさんになってるんだもん!(笑)ちょー演技うまい。

 あと、手術中やその後だめだったことを知るあたりで、まわりのみんなが祈るシーンや泣くシーン。あれだけうざったがっていた健一を本当に応援してる気持ちが出てて、さらに泣けた。人間関係が希薄な現代でも、人の温かさを感じたよ。

 で、最後にみんなに認められて手術を希望する人が絶えなくなるじゃない?あれって、健一の技術が買われたんじゃなくて、おばあさんに対する思いとか、人を心の底から救いたいっていう彼の医学への真摯な思いが回りの人を動かしたんだと思う。それだからこそ、「症例7号」から「あの男」になれたんじゃないかな?

 それにしてもやっかいな能力だよね、サトラレって。めぐみ(内山理名)のセリフじゃないけど、絶対つきあえないよね。恋愛なんてうそで成り立ってるから。(キャー)

 僕はよく宮部みゆきの作品を読むこともあって、彼女のよく書くテーマである「超能力者の悲哀」について考えるんだけど、特殊な能力を持つってことは苦しみなんだよね。超能力までいかなくても、人より優れた才能を持つってことは苦しみでもある。(例えばアーティストとかね)逆に一般人にとっては、特殊な人はあこがれであると同時に、やっかみや恐怖の対象でもある。差別や学校のいじめとかもそうじゃないかな?人と違うことへの恐れが漠然とあるから、ついでっちあげでもターゲットを作る人間の性が原因にあると思う。

 でもサトラレが受け入れられたように、自分と他の人との違いを認め、よいところを認めるようにしないと、人間が共存することなんてできない。この映画は、家族愛だけじゃなくて、人と人とがしっかりとつばがりあっていく意味を問うたんじゃないかな?

 おっと、ついまじめになっちゃったけど、笑えることもたくさんあったね。他人の心が読めてしまうっていう設定は今までもよくあったけど、他人に心が読まれてしまうっていう設定はまずなかったじゃない?それが新鮮で、回りの反応がすごい面白かった。(撮影は大変だったらしいよ)あと、すごいどいなかの設定なのに、サトラレを保護する設備が超近代的で、そのミスマッチがめちゃ面白かった。本広克行監督はすごいね。(「踊る大捜査線」でも細かいところにつっこみポイントがたくさんあるよ)

 あれだけ笑えて、泣けて、考えさせられる映画はめったにない。ちょーおすすめの星5つを文句無しであげよう!(邦画もやるじゃん!(笑))